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まず試したAirTag、なぜ効かなかったのか
父の一人歩きが心配になり、最初に試したのは家電量販店の店員さんに勧められたAirTagでした。父はスマートフォンの操作が全くできないので、AirTagのタグ部分をポケットに入れてもらい、私のiPhoneで居場所を確認する、という使い方をしてみました。 結果は、全く使えませんでした。 調べてみると、これは仕組み上当然のことでした。AirTagは自分自身では位置を測定していません。近くを通りかかったiPhoneなどのApple製デバイスが信号を拾い、代わりに位置情報をiCloudに送ってくれる「探す」ネットワークという仕組みを使っています。つまり、周りにApple製デバイスを持った人がいなければ、位置情報はいつまでも更新されません。 父の散歩道は、人通りの少ない住宅街。AirTagが本来得意なのは「近くにあるはずなのに見つからない忘れ物」を探すことで、屋外を歩く人をリアルタイムで追いかける用途には、そもそも向いていなかったのです。店員さんのすすめが間違っていたわけではなく、私たちの使い方に合っていなかった、ということだと今は理解しています。| AirTag | GPS端末(まもサーチなど) | |
|---|---|---|
| 得意なこと | 近くにある探し物を見つける | 移動する人をリアルタイムで見守る |
| 位置の更新 | 近くにiPhoneなどがないと更新されない | 自分で測位して定期的に更新 |
| 人通りの少ない散歩道 | ✕ ほぼ反応しない | ○ 問題なく追える |
| 月額費用 | なし | あり(まもサーチは月528円) |
💡 ここがポイント:AirTagは「近くの探し物」用、GPS端末は「移動する人」用。目的によって選ぶ道具が違います。
「まもサーチ」で変わったこと、変わらなかったこと
次に試したのが、GPS端末「まもサーチ」でした。GPSならスマホにすればいいのではと思われがちですが、そもそも父は指先の動きが悪いため、スマホにかかってきた電話に出る操作も難しく、散歩のためだけにスマホを契約するのもできれば避けたいところでした。それで代替品を探していました。 杖の伸縮用の穴を利用して、専用のシリコンケースに入れたまもサーチをぶら下げてみました。
新しいものを警戒しがちな父も、杖に当たっても音が気にならないこのケースのおかげか、すんなり受け入れてくれました。
使ってみて一番変わったのは、探すべき場所がすぐにわかるという安心感です。アプリを開けば、今どこにいるかすぐにわかります。さらに、歩いたルートも地図上に表示されるので「今日もちゃんとお散歩できたんだな」とわかって、それまでの不安がずいぶん軽くなりました。
位置表示の画面では、今どこにいるかに加えて充電残量も確認できます。杖は玄関に置きっぱなしにしていることが多く、父も母もつい充電を忘れがちです。残量が減ってきたら、私から電話で「まもサーチ、充電しておいてね」と一声かけられる。これも地味だけれど助かっている点です。
それから、まもサーチには親指で押せるサイズのボタンがついていて、そこを押すとスマホに緊急連絡が入る機能があります。途中で気分が悪くなった時など、「なんとかこれを押してね」と父にはお願いしてあります。父の現状では、ボタンを押すべき時にこの機能を思い出せるか、押せるかは心もとないのですが、それでもこれ以上ないシンプルなヘルプコール機能であることは間違いありません。
ただし、正直に書いておきたいことがあります。まもサーチを使っても、転倒そのものは防げません。「どこにいるか」はわかっても、「今まさに転びそうになっている」ことまではわからない。ここは今も変わらない不安として残っています。それでも、「探す場所がわかる」というだけで、家族の気持ちの負担はまったく違います。完璧な解決策ではありませんが、私たちにとっては十分に助けになるものでした。
まもサーチで実際に助かっていること:
✅ 「帰りが遅い」とき、探すべき場所がすぐわかる
✅ 移動履歴で「今日も散歩できたんだな」と確認できる
✅ 充電残量が見えるので、電話で一声かけられる
✅ 親指サイズの緊急ボタンつき(シンプルなヘルプコール)
餅は餅屋——ケアマネジャーさんに相談してわかったこと
まもサーチにたどり着いたのは、ネットで「高齢者 見守り」「子ども 見守りグッズ」といった言葉で検索し、一生懸命探した末のことでした。でも今振り返ると、もっと早く頼れたはずの相談先がありました。 もともと父は要支援1で、公的サービスを利用していました。恥ずかしながら私はその状況をあまり把握していませんでした。転機になったのは、母が胸椎圧迫骨折で動けなくなり、私が実家の家事全般に関わるようになったことです。そこで初めて、公的サービスの存在をきちんと知り、ケアマネジャーさんと直接やり取りするようになりました。今では父も母も要支援2になり、専属のケアマネジャーさんがついてくれています。 ケアマネジャーさんや、その一歩手前の窓口である社会福祉協議会のスタッフさんは、似たような家庭の事例をたくさん知っています。餅は餅屋とはよく言ったもので、私たちだけで悩んでいたことが、相談してみるとあっさり解決策が見つかることも多いです。次にお伝えする鍵の問題も、実はそうやって解決の糸口が見つかりました。💡 ここがポイント:「まだ相談するほどでは」とためらわず、早めに窓口とつながっておくと、いざというときに頼れる存在になります。
散歩だけじゃなかった——父が「玄関の鍵」を閉められなくなった話
見守りを始めてみると、散歩以外にも次々と「できなくなったこと」が見つかってきます。私たちの場合、それが鍵でした。 父は今、玄関の鍵を自分で開け閉めすることができません。基本的には母がいるときに外出するので普段は問題になりませんが、母がどうしても不在にしなければならない日で、かつ父がデイサービスに出かける時間が重なると、「誰が施錠するのか」という問題が出てきました。 そこで、ケアマネジャーさんにこのことを話してみると、デイサービスのスタッフさんに施錠をお願いできる場合が多いですよと教えてくれました。実際にその状況が発生したときはお願いして対応してもらえましたし、母の不在時にデイサービス以外で父が一人で外出することはほとんどないため、今後同じ問題が起こる可能性は低いとみています。 ただ、まだ心配の種は残っています。実家の玄関は昔ながらの引き戸で、鍵自体が老朽化していて、鍵の開け閉めがやりにくくなっています。今は母が何とか使えていますが、この先母もてこずるようになるかもしれません。対応した方がいいとわかってはいるのですが、現状なにもできていないままです。母のためにも、迷子札キーホルダーを
父の見守りを整えていく中で、母のためにもやってみようと思っていることがあります。母のカバンやキーホルダーに取り付ける、迷子札です。 今のところ母は元気で、受け答えも問題なくできます。それでも、こうした状況と何年も向き合っていると、母自身も年々年齢を重ねていきます。今は大丈夫でも、いつか外出先で何かあったときに、うまく受け答えができなくなる可能性は、これから年々増えていくはずです。 迷子札には、緊急連絡先として私のスマホの番号を書いておくつもりです。出先で母に何かあったら、まずは私に連絡が来ると思っているだけで、心構えができて不安がぐっと減る気がしています。父だけでなく母にとっても、外出時の「お守り」として、これから備えておきたいと思っています。 候補として考えているのが、スライド式で普段は連絡先が隠れているタイプのキーホルダーです。表面には「もしも一人で困っていたら、サポートをお願いします」と書いてあり、スライドすると中に連絡先が書いてあるという作りです。個人情報がいつも見えている状態には抵抗がありますが、これなら普段はさりげなく、いざというときだけ役立ってくれます。色の選択肢が多いので選ぶ楽しさもありますね。
まとめ:完璧な見守り行動はない。それでも、できることを
ここまで、AirTagの失敗から、まもサーチでの見守り、ケアマネジャーさんへの相談、そして鍵の問題まで、私たち家族が実際にとってきた見守り行動の道のりをお伝えしてきました。- ✅ AirTagは「近くの探し物」用。屋外を歩く人の見守りにはGPS端末を
- ✅ まもサーチで得られるのは「探す場所がわかる」安心と緊急ヘルプコール機能。転倒そのものは防げない
- ✅ ケアマネジャー・社会福祉協議会は、似た事例を知る心強い相談先
- ✅ 見守りを始めると、散歩以外の「できなくなったこと」(うちの場合は鍵)にも気づく
完璧な答えは、どこにもありません。現実的にできること、気持ちの面で受け入れられること、金銭的に続けられること——家庭ごとに事情は違います。だからこそ、一人で抱え込まず、家族で話し合いながら、その時々でできることを積み重ねていくしかないのだと思います。まもサーチも、そうやって一生懸命探して見つけた、私たち家族なりの答えのひとつでした。同じようにジレンマを抱えているどなたかの、ヒントの一つになれば嬉しいです。

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